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  カシミヤのお話

      (Cashimere)

カシミヤは獣毛繊維の代表格であり、ここ数年来の本物指向ブームに よって、さらに広く知られるようになりまた。

カシミヤは、昔インドの奥地カシミール地方にいた山羊の毛を製品化し、シルクロードを通じてロー マに運ばれその独特な       風合い・光沢・軽さ・暖かさが認められ、時の貴人達に愛好された  ことから有名となりカシミヤの名が起こったとされています。

カシミヤ山羊は、シルクロード沿いの地域に多く飼われています。

東は、中国の新疆ウイグルグル自治区の南部、昆ろん山脈と同北部、 天山山脈、さらに東は、内蒙古自治区 のオルドス平原とその北、  モンゴル人民共和国のモンゴル高原、西はアフガニスタン・ イランのケルマンを中心とするイラン高原などが主産地です。

 ・・・・産毛量と品質・・・

現在の産毛量は、年間約5000tと推定されています。

これから私たちが使う「ウブ毛」を分離します。

その量は約2100tです。

品質は中国産が最良とされ、蒙古産・イラン・アフガニスタン産と  続きます。  

ウブ毛を最も多く製品化しているのは、英国スコットランドです。

わが国に輸入されているカシミヤはほとんど中国産です。

カシミヤ山羊は、気象条件の厳しい地域で多く飼育されています。

そして、山羊が厳寒期を生き抜く為に保温性の良い軽くて長い    ウブ毛が生えるわけです。

又、カシミヤ山羊は羊のように牧草を食べるのではなく、      灌木の芽を食べるため手入れの行き届いた牧場での飼育は不向きです。

管理の十分な栄養満点の体力ある山羊からは繊度の粗い、      低品位のウブ毛しか採毛出来ません。

カシミヤのウブ毛の採毛には、熊手様の櫛でコーミングするため、  ウブ毛の毛根やヘアーに動物性や植物性の夾雑物が多く混入します。

これらの夾雑物は機械的に分離するわけですが、繊維の特性を    損なうことなく完全に分離することは非常に難しく、        微量の夾雑物が残ります。

この残留夾雑物が、化繊や他の天然繊維を見慣れた人達からは    問題点として指摘されるわけですが、逆の見方をすれば、      極微量の夾雑物の存在こそ、天然繊維「カシミヤ」の証明と     いえるものではないでしょうか。

現に一般的に最高と評価されている「英国製」の製品等を検査しても、微量の夾雑物の存在が認められる場合があります。

これらは、天然繊維に対する欧米人と日本人の感覚の相違でしようか。

・・・・物理的性質・・・・

カシミヤは、色によって、ホワイト・ライトグレー・ライトフォーン・ブラウンの4色に分類されます。

繊度はホワイトが粗くて平均17μ,ブラウンが細く,        平均16μくらいです。

繊維長は,産地およびグレードによって差がありますが、      中国産1級原毛では、平均42~43・・程度です。                          単繊維強伸度は、羊毛(メリノ、18μ)に比べて、        強力はカシミヤ4.3g.、メリノ4,6gとあまり差はありませんが、 伸度は、カシミヤ42%、メリノ29%と差が認められます。

・・・・カシミヤ製品・・・

カシミヤの製品は、織物と編物(ニット)とに分類する     ことが出来ると思います。

カシミヤ織物には、コート・ドレス・マフラー・ショール・   毛布・膝掛けなどがありますが、それぞれの用途に応じて、   カシミヤの風合いや光沢をいかにうまく表現するかは、     その加工技術によるものです。

例えば起毛仕上げのビーバー調コート地は、ソフトな手触りと  光沢がありますし、波付け仕上げされたショールは、       カシミヤならではの加工方法です。                             またハーフミドル加工のツイード調織物は、スーツ地・     スカート地・ブレザー地等に使用され、クリヤ仕上げされた   カシミヤ織物は、最高級紳士スーツ地として使用されます。

ニット製品には、セーター・肌着・マフラー等があります。

カシミヤの特性を生かす為に編み組織は天竺編が主体でした。

素材が高価であるために、成型編みをし、リンキング縫をします。  このとき生ずるファショニングニングマークは、       「高級セー ター」の一つの特長です

素材の特徴を生かすために、加工工程において様々な      気配りがされています。

従って、使用者側としても、それぞれの特性を理解した上で、  最適な取扱い方を考えたいと思います。

最近、羊毛の欠点をカバーするために種々な特殊化学処理が   研究され実施されています。

しかし、カシミヤ・ビキューナ・アンゴラといったデリケートな 天然繊維は、これら化学処理によって、本来の良さを失うことが 多く、繊維自身もダメージを受ける事になります。

中には、受けたダメージをカバーするために樹脂コーティングするものもありますが、加工してしまえば、もはや天然繊維から   一歩人工繊維に傾いていると言えます。

柔軟加工などはその一例ではないでしょうか。

防縮加工による洗濯性の向上などは、繊度の粗い繊維だからこそ 可能なわけで、獣毛の取り扱いは、獣毛を理解することが先決と いえましょう。                        むしろ獣毛だけが持っている特徴を生かすためには、      欠点は欠点として認める事が大切だと思います。 

獣毛製品の洗濯方法

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カシミヤ・アンゴラ製品の欠点と対策      

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獣毛特性 比較表 

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