立体的体型作り
私たちの体は、ある特定の立体であり、それを包む服は立体的に作られていなければなりません。
それが著しい特徴である事はご存知の事と思います。
しかしその特徴はデザインと言う言葉により、又オーダーメイドの場合は体型という言葉により曖昧に理解されている部分が多いと思います。
デザインと言う言葉は、色彩とかいわゆるデザイン線やアクセント、衿やポケット等のディテールを決める技術の事を指すと見ている人が多く、服全体のシルエットについて考える事を忘れがちです。
又シルエットと言う言葉すら誤解されているといえませんか。
シルエットとは、元々ある物を一定の視点から見た場合の ”影絵的な輪郭” をいいます。
従って、その意味では形を一方的に平面にしか見ていないのでは
そこで厳密にいえば、服作りの場合は、フロントシルエット(前面)サイドシルエット(脇面)バックシルエット(後面)という風に使い分けて見る事により全体の像をはっきりとさせるわけです。
そのシルエットと服の関連がどこにあるかを考えてみましょう。
服のデザインの最も大切な所は ”服の立体としての特徴を決めるシルエット" なのです。
タテ(丈)ヨコ(巾)奥行き(厚み)服は、そのシルエット作りから始まるのです。

体の立体感の特徴 (あいまいな丸味ではない)
正しい技術を発見する第一歩は服の土台となる体を観察する事により明らかとなるでしょう。
私達の体は丸味を帯びながらも意外と四角張った構造になっている事に気がつくはずです。

A
B
C
もちろん胴体の断面を作って見ても正しい円や楕円ではないのと同じ様に、正しい四角となっている筈はありませんが、前・脇・後の面を見ると結構平に近い性質を認める事が出来ます。
そう言った中間的なものに、従来は何となく丸味の有るものと特徴づけ・解釈し・教えられて来たのではないでしょうか。
丸味という表現自体が曖昧であり、A・B・C は胸部の断面図ですが大半の人は AとB を想像し、Cを考えた人は少ないでしょう
A を想像した人は D・E・F・G というシルエットの服を作ることを下図で想定して見ました
A
D
E
F

B を想像した人は E・F・G・H というシルエットの服を作ることを下図で想定してみました
E
F
G
H

C を想像した人は F・I という風にして私たちの言わんとしている事も少しは理解して頂けたのではと思います。
C
F
I

G・H のシルエットを考えた人は、奥行き(脇面)が、あいまいになり平面なシルエットにならない様に注意が必要です。